高専デザコンAM部門のすすめと手引き
うっかり高専デザコンAM部門にでたらビジコンでした。
itha-2ca.hatenablog.com
これはAM部門をビジコンとして楽しむための傾向と対策を2019inTOKYOで11チーム中9位だった歯車が書いた特に信頼はできないエントリです。
2019/12/8 一回あげたらヘイトしか伝わらない感じだったので追記しました。ビジコンとしては良いコンテストなんです本当に。
またオタクによるオタクのためのオタクラジオAdventCalendar2019の8日目に間に合うようにも書いています。今度こそ間に合わせます。
adventar.org
高専デザコンAM部門とは
デザコン|全国高等専門学校デザインコンペティション
AM(Additive Manufacturing)部門について、公式サイトには
3Dプリンタによる造形技術を活用したアイテムのデザイン
をする部門と書いていますがこれは嘘。本当は(少なくとも2019年大会においては)
3Dプリンタによる造形技術を活用したアイテムのビジネスプランニング
をする部門です。高専生のこんな身近にビジコンがあったなんて知らなかった…。
評価項目
評価項目(配点)は
新規性、独創性(15)
実用性(15)
事業性(15)
活用性(45)
プレゼンテーション力(15)
学生投票(5)
の6つで110点満点。ひとつひとつ見ていきます。
新規性・独創性
目新しさ、オリジナリティがあるか、なのですが注意が必要なのは「3Dプリンターの活用法としての目新しさ」ではなく「ビジネスとしての目新しさ」であることです。
実際に2019年に最優秀賞を受賞したのは「頭の形をスキャンしてそれに合わせてオーダーメイドでつくれる剣道防具」で、3Dプリンタの活用法としてはあまりにもベタすぎる「オーダーメイド」ですが、ビジネスとしては剣道の面を作ろうというのは確かに面白い発想です。
実用性
アイテムの有用性を客観的かつ定量的に評価できているかの項目ですが、研究発表ほどの客観性も必要ありませんし、具体的な数値は質疑用に用意はしておくと良いでしょうが〇△✕程度の評価でも問題ないこともあります。都合の良いところだけを切り出したグラフでも問題ありません。まともな出典のグラフがありさえすれば客観的と判断されます。その意味では卒業研究をはじめた5年生には不向きかもしれません。
ビジコンとして稀有なのはこの部分で、本選はプレゼンとポスターセッションの際に必ず現物を持って行く必要があります。しかもここでは十分にPDCA回してブラッシュアップされた、製品版と同程度の体験を求められます。手を動かすのが得意なはずの高専生には向いた形式だと思います。
事業性
ビジネスコンテストですから、もちろん非常に重要な項目になります。
具体的には
・コスト計算を詳細に行うこと
・事業が拡大する見込みが高いこと
・事業主はそれ一本で生活が立ち行き、正社員を雇える規模になること
が必要です。副業、学生起業前提で考えていてはいけません。2019年の審査委員長によれば社員の社会保険料を支払う甲斐性がなければ事業とは言えないらしいのです。
活用性
3D プリンティングを使うことで初めて生み出される付加価値があるかどうか、他の技術では実現できないかどうかについて審査・評価します
と要項には書かれていますが、審査員が機械加工の専門家ではないことに注意が必要です。高専生にとっては一目でちゃぶ台返したくなる、どんな熟練の職人連れて来たら加工できんねん!みたいなものでも「でも作れるんでしょ?」と言われます言われました。どんな加工が難しいとかどんな方法は何が得意だみたいなことを知らないのです。一般人(ここでは工学を専攻としない人を指す)とのギャップを理解しなければなりません。加工や機構の知識がある程度ある人なら
①目的を達成できそうな機構をいくつか考える
②各機構と相性の良い加工法とそのコストを考える
③最も良さそうなものを選んで、やっと作ってみる
とやりますが、この過程で自明に不向きな機構や加工方法を除くことを3Dプリンタを使うための機構を考えていると評価されます。考えるまでもなくダメそうでも試作を増やすのが正解。色々やってみたけどダメでした!3Dプリンタしかありません!というストーリーが必要なのです。
プレゼンテーション力
内容および構成が優れているか、スライドやポスターの見やすさ、発表者の声、態度などが適切かを審査・評価します
とありますが、とくにデザインが優れている必要はないように感じました。文字が読めない、などは問題外でしょうが、無駄にぬるぬる動かしたり多少手の込んだものにして、あとは堂々と話すこと。これだけです。質問の意図を理解できずに頓珍漢な返しをしても問題ありませんから落ち着いて回答しましょう。